セリエ博士は、ストレスは心身のエネルギーの消耗であると言っています。「ストレスマネジメント」とは、いかにエネルギーを節約しながら、自分の目的のために最大限にエネルギーを使うかということになります。
休息をとる
エネルギーが減っているときには、エネルギーを補給してあげる必要があります。それには、休息をとることが重要になります。ストレス状態が続いて、エネルギーが減っている人は、活動をいったん停止して、休むこと眠ることが必要です。
エネルギーのバランスをとる
エネルギーがどこかに偏って使われていると、バランスが悪くなってきます。エネルギーのバランスをとることが必要です。
なぜ、バランスをとることが必要なのか。セリエ博士は、自動車のタイヤにたとえて説明をしています。自動車を運転するときに、仮に、車体のバランスが悪くて、どこか一つタイヤだけ強い負荷(ストレス)がかかっているとしたら、どうでしょうか。そのタイヤだけが著しく磨耗してくるはずです。
おそらく、早めにそのタイヤを取替えなければいけなくなりますから、結果的に、その自動車に問題なく乗り続けられる期間は、短くなってきます。
それに対して、バランスよく4つのタイヤに負荷がかかっていれば、すべてのタイヤの消耗が同じようなペースで進み、結果的に長く自動車に乗り続けることができます。
つまり、バランスよくすることは、「長持ち」をさせられるということです。
これは、体や心にもあてはまることです。別の言い方をすれば、バランスよくすれば、心身の(エネルギーの)消耗を節約できるということです。
エネルギーのかたより
ストレスに対処するためには、そのストレスにエネルギーを振り向けなければなりません。
ある程度のエネルギーを振り向けることは当然ですが、中には過剰にエネルギーを振り向けてしまう人がいます。
たとえば、仕事にだけ、必要以上にエネルギーを振り向けてしまう人もいるでしょう。
あるいは、人間関係に必要以上にエネルギーを振り向けてしまう人もいるでしょう。
たとえば、親しい人にメールを出したら、相手が返信をくれなかったというようなときに、「私は嫌われてしまったんじゃなかろうか」などと、あれこれ考えを巡らして、そのことだけに必要以上にエネルギーを使って、疲れてしまうというようなケースもあります。
一部に過剰エネルギーを使っているときは、そのエネルギーを抑制しバランスをとったほうがエネルギーの節約になります。
このバランスをとるということも、自分の状態を客観的に捉えるという時間と技術が必要になります。(自分の状態を客観的に捉えるということが大変重要になります。これは別途後で取り上げていく予定です。とりあえず簡単な方法としては、毎日1日を振り返り反省する習慣をつけるといいでしょう)。
気分転換をする
バランスをとるための方法には気分転換があります。
気分転換は、別のストレスを加えることによって、偏ったエネルギーの使い方のバランスをとることにつながります。
エネルギーが偏っている人は気分転換しましょう
エネルギーが偏っている人は、気分転換でバランスをとることが有効です。
仕事にエネルギーを使いすぎている人は、適度な運動によって気分を転換したり、人間関係にエネルギーを使いすぎている人は、趣味によって気分転換をしたりすると、エネルギーのバランスがとれてきます。
エネルギーが減っている人は気分転換してはだめ
エネルギーのバランスが悪くなっているといっても、全体のエネルギーレベルが下がっている人は、気分転換をしてはいけません。
気分転換をするようなエネルギーが残っていないため、かえって、エネルギーの消耗を早めてしまいます。
エネルギーが減っている人が最優先すべきことは、休んでエネルギーを補給することです。
ストレス対応法いろいろ
セリエ博士の考えたストレス対処法の基本は、上記で説明した「休息(エネルギーの補給)」と「気分転換(エネルギーのバランスを取る)」ですが、これ以外にも、ストレスに対処するための方法として、古来よりいろいろな方法が提唱され、アドバイスされています。特に休息と気分転換以外でも重要なものがありますので、それらにつては別途考えていきたいと思います。
以下いくつか挙げてみましたので参考にしてください。
- 規則正しい生活をする
- 問題解決をしましょう(問題から逃げないことが大事です)
- 受け止め方を変えましょう(ポジティブシンキングなど)
- リラックス法を覚えましょう
- あるがままの自分を受け入れましょう
- 人に相談しましょう(ただ話しをするだけでも)
- おもいっきり発散しましょう(大声を出す・激しい運動やスポーツをするなど)
- たまには人との飲食をおもいっきり楽しむ
- 旅行してみる
- 未来の夢や目標を持つ(現状のストレス原因を前向きに捉えていく)
さまざまなストレス解消法がありますが、まずは、ストレスから逃げないことが大事です。
逃げてしまうと忘れてなくなったような錯覚に陥りますが、結局は抑圧されたストレスが必ず悪い方向へと働いてしまいます。
そして大事なのが休息とバランス。ここまではある程度は簡単にできるものですが、難しいのが、受け止め方を変える、リラックス法、あるがままの自分を受け入れる、ということではないでしょうか。
これらについては、やはりある程度の技術を必要とするものですので、後で詳しく取り上げていく予定です。