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マインドスタイル - [4]心理療法いろいろ

心理学の類型についてみてきましたが、ここでは心理療法についてご紹介していきます。
心理療法の種類は、実に様々なものがあり、そこがまた心理療法をわかり難くしているところでもあります。

現在、心理療法には、実に200を超える理論や方法があると言われております。それら全てを紹介する事は出来ませんが、代表的なものをご案内していきますので、心理療法の理解のお役に立てれば思います。

心理学の類型についてみてきましたが、ここでは心理療法についてご紹介していきます。
心理療法の種類は、実に様々なものがあり、そこがまた心理療法をわかり難くしているところでもあります。

現在、心理療法には、実に200を超える理論や方法があると言われております。それら全てを紹介する事は出来ませんが、代表的なものをご案内していきますので、心理療法の理解のお役に立てれば思います。

どの心理療法も、さまざまな文化や社会的な背景を持っており、必要があったからこそ生まれてきた療法です。様々な療法を知ることで、理解が深まりあなたの何らかのお役に立てばと思います。

精神分析療法

フロイトによる治療の方法。 カウンセリングの世界に大きな影響を及ぼしていて、古典的精神分析と呼ばれています。クライアントの夢分析や自由連想を解釈していきながら、治療が進められるものです。

基礎になっているのは、人間は元々本能のかたまりだが、それが理性的な存在になっていく過程が発達だというものです。

無意識は幼児体験が元になっているとされています。たとえば、父親がライバルで、母親を奪いあうことを経て形成される男の子の性格が、人間の発達の基本であるというものです。

精神分析の場合、無意識を意識化するために、クライアントに自由に思いついたことを話させます。連想中に出てくるもの、その出方が抑圧や抵抗を解釈する元になってきます。
この療法は時間と費用がかかるとされています。

ゲシュタルト療法

フ心理学者であり、精神科医であるフレデリック・パールズが提唱した理論。
ゲシュタルトとは全体、統合、形成という意味のドイツ語。クライアントを統合され熟成した全体像ととらえる療法です。

行動主義に対するもう一つの勢力、ゲシュタルト心理学の考えをカウンセリングに取り入れたものです。

人間はさまざまな要素を足し算して集めたものではない。知覚や認知の部分の総体ではなく、全体としてまとまりを作っていると考えます。

この療法では、役割演技の技法が用いられ、クライアントが自分のさまざまな部分、不満を持つ自分、それを非難する自分などを演じていきます。
そうして思いがけない自分に気づき、ゆたかな人格像に近づくという考え方です。

ゲシュタルト療法の技法の一例
■ホットシート

多数の人に、自分の欠点や長所を教えてもらう。自分の欠点を他人に言ってもらうことで、あえて意識化する。

■未完の行為

やりたくてやれなかったことをやってもらう。 両親のいないひとに「おとうさん」「おかあさん」と呼ばせるなど。

■ドリームワーク

夢の登場人物や事物になりきり、その気持ちを語る。

■できないことをする

「人前で話せない」という人に、「今からあなたは人前でも平気でおしゃべりできる人を演じてください」とロールプレイさせる。

■トップ&アンダー・ドッグ

「ねばならない」自分と、「○○したい」自分を対話させる。

来談者中心療法

臨床心理学者ロジャーズの理論。
人間は誰でも豊かに成長する資質を持っていて、日々の生活はその成長へ向かうもの、と考えたのです。カウンセラーが主導的になるのは危険だとまで言います。

カウンセラーに求められる態度は、自己一致、無条件の肯定的尊重、共感的理解、でありそれをクライアントに伝えていく過程を「傾聴」といいます。

ひたすら傾聴することで信頼関係が作られ、信頼関係があればクライアントは自分の内的な世界を話し始めます。ただし共感は同感ではないということがポイント。

相手と同じことを感じてはいても、巻き込まれないと言うことでしょうか。

ロジャーズのカウンセリングのポイント

【Point1】個人の成長、健康および適応へと向かう力
【Point2】知的な面より場の感情的な面
【Point3】個人の過去よりもいまここでの状況
【Point4】成長経験としての治療関係

行動療法

ジョセフ・ウォルピを始めとする心理学者が提唱した理論。
不安や恐怖はそれらに拮抗する新しい反応を学習させることによって消去することが可能であるという逆静止の理論を提唱しました。

人間は白紙の状態で生まれてきて、生まれつき善でも悪でもない、と考えます。その何もないところに、周囲からいろいろ色づけされて成長するわけです。

行動療法では素質、遺伝の作用は考慮しないのです。

行動療法は、クライアントとカウンセラーがしっかり話し合ってゴールを決めること、カウンセリング室で会うだけではなく、クライアントと一緒に出かけて治療的な行為をすることもある、などの特徴があります。

行動療法の具体例
■高所恐怖症を改善したいというクライアント

カウンセラーが一緒に高層のビルへ行き、最初は1階や2階の低い階から外を眺めてみたりする。慣れてきたらだんだん高い階へ上がって、最後はビルの屋上に立っても不安を感じないでいられるようにする。

精神分析や夢分析などはせず、あくまでもめざすところの行動パターンを繰り返すことで学習する。

論理療法

クライアントの持っている考え、信念を問題にして、不合理な考え方を変えていく方法です。

人には色々な思いこみがあります。無意識ではあっても、それらにとらわれてしまうと生きにくくなってしまいます。
カウンセラーはそういうクライアントを縛っている思い込み(マイナス感情)を見つけて反論し、説得していきます。

例えば、人前でのスピーチに失敗しても、「失敗しても全てがダメではない」(プラスの感情)、と認知できるように改善(ビリー府の修正)していくのです。

摂食障害、パニック障害、強迫神経症に効果が認められている療法です。

論理療法の例
コーチングイメージ

現実療法

現実療法は、非行少年、非行少女に対するカウンセリングや心理療法で、彼らの更正に尽力したグラッサーの体験、考え方が基本になっています。

従来の心理学の主流の考え方は、人の行動自体は、その人の内側から起こるものではなく、外部からの刺激に対する反応(外的コントロール)でしたが、精神科医のグラッサーの理論では、「人の行動は外部の刺激によるものではなく、自らの選択である」つまり「内的コントロール」であると主張されています。

非行を起こしやすい子どもは達は現実逃避的な行動を起こしやすくなっています。そこでもっと現実を認識していくように導くことが大事であるというのです。

クラッサーは彼らにいたずらに寛容にならず、責任と意思を確認していきます。クライアント中心の療法を取り違えてしまうと、放任や偽りの受容に流されやすいだけに、新たな問いかけになりました。

現実療法3つの前提
  1. クライアントが不幸なのは、満足できる人間関係を持っていないからである。
  2. クライアントが満足できる人間関係を持っていないのは、どちらかあるいは両方が、関係を改善しようとして、外的コントロール心理学を用いているからである。
  3. そのような関係からは苦痛がもたらされるので、どちらかあるいは両方が、相手が用いている外的コントロールから逃れようとしている。

家族療法

家族療法は現在20以上の流派があると言われていますが、システム論を中心にしている点は共通しています。

この療法は不登校などの問題や症状そのものにアプローチするのではなく、「家族」というシステム全体から問題をとらえて、解決していこうという考えです。

「家族それ自体が病んでいる、家族システムが機能不全に陥っている状態だと、最も感受性の強いものが問題行動を起こす」と考えます。

それぞれの人は問題がなくても、人間関係そのものが問題になることがあるわけで、システム内の相互作用に焦点を当てていくのです。

庭円的因果論で問題の糸口を探り、家族全員にバランスと変化の取り方を教えていきます。

家族というシステムがクライアントに与える影響

家族療法では、家族というシステム全体がクライアントに影響を及ぼしていると考えます。その要因は、

  • 家族のルール
  • コミュニケーション問題
  • 家族での役割
  • 世代間ギャップ
  • 家族内での人間関係

などがあります。

森田療法

森田正馬(もりた まさたけ)による治療の方法。 不安や葛藤をあるがままに受け入れるという神経症に対する心理療法。

一度トラウマになってしまうと、その原因になった過去や経験は変えられるものではありません。
いまのトラウマに正面から向き合い、それにうち勝つための行動や認知を身につけようとします。

「変えられないことは変えなくて良い」「変えられることだけを変えていこう」という考え方で、けっして何かをガマンしたり、無理に行動や認識を変えると言うことではありません。

たとえば、人前に出ることがいやで、緊張しまくる性格の野球選手は、あがり症を治すことはできませんが、あがったまま野球をできるように勇気づけてあげます。あがり症でも野球ができればいいんだという考え方です。

行動を目的本位にすることによって、症状はあるがままにしておくということです。
これによって行動への集中力が高まると、だんだん症状も緩和し、治っていきます。

森田療法は、森田自身が学生の頃患っていた心悸亢進発作で悩まされていました。

しかし、切羽詰まってむかえた定期試験で、勉強に気持ちを向けることにより、いつしか心臓の症状がなくなるという経験から、この治療法の発想が生まれたとされています。

森田療法
第1期:ひたすら床に伏す期間
目 標 心身の疲労回復
行 動 患者の隔離・安静、安眠
期 間 4~7日間
第2期:作業期
目 標 自発性の発揮・気分本位の打破
行 動 軽い手仕事(草刈り、部屋の整理など)
期 間 1~2週間
第3期:重作業期
目 標 価値観の没却・不可能なこと無しの体得
行 動 全身的作業(畑仕事、庭掃除、炊事など)
期 間 3~4週間
第4期:日常生活訓練期
目 標 境遇に従順・純な心の会得
行 動 通信と会話の再開
期 間 1~4週間

箱庭療法

 遊戯療法の一つです。
子ども(クライアント)に砂の入った浅い箱と建物や動物、植物、人間、怪物、乗り物などの模型を使って自由に配置させていきます。

子どもは言葉では表現できない内面を表し、配置していく過程は治療者がクライアントを理解するために、またクライアント自身の心を解放するのに役立ちます。

ただし、あくまでも作品のまとまり、全体のテーマなどを理解すべきで、細部までの説明を求めるのは治療的ではありません。

箱庭、絵画などの遊戯療法は成人にも有効であることが認められています。

著名な心理学者

ヴント<W.M.Wundt;1832-1920>

古代から続いた哲学的な心理学、たとえば人間の心理は、太陽の力、星の力、宇宙の力など、「外なるもの」によって支配されているという発想に終止符をうったのがヴントといわれています。

それまでの哲学的な心理学とは異なる実証的な心理学を構想して、人間の意識に着目し「心の中でこう思っているから、このように行動するのだろう」といった仮説を作り、実験や統計をとり検証していきました。

こうした心のメカニズムを探る心理学を【実験心理学】とよんでいます。

ヴントは、実証実験を大学の教室で行って、ライプツィヒ大学の哲学教授を務めていた1879年、公認された世界初の心理学実験室開設に至りました。

ヴントの心理学は、【意識的】に感じていることが行動に影響を与えているという発想に基づいた、現代の神経心理学の分野で功績を修めました。

これに対し、【無意識】にというものを重要視し、臨床心理学、精神分析の分野で功績を残したのがフロイトやユングなのです。

フロイト <S.Freud;1856-1939>

精神分析がどんなものか知らない人でも、フロイトという名前は一度は耳にしたことがあるでしょう。

マルクス、ダーウィンと並んで三大思想家の一人とも言われるのが、精神分析学を創始し神経内科医でもあったフロイトです。

ヴントを現代心理学の始祖とすれば、フロイトは臨床心理学の祖といえます。

フロイトの精神分析の理論の基礎が固まったのは、ウィーン大学医学部を卒業後、神経内科医としてパリに留学し、神経内科の権威シャルコーと出会ったのがキッカケと言われています。

当時の神経難病は、不治の病とされ、唯一治るようになったのがヒステリーでした。

ヒステリーは女性特有の子宮の病気だと考えられていましたが、シャルコーは、そのヒステリーを催眠術で治ることを発見しました。

フロイトは、シャルコーが催眠術で治療するのを見て、「無意識」に働きかけることで心を治すというモデルを考え始め、やがて催眠術をかける代わりに「自由連想」や「夢を語らせる」といった精神分析の手法を作り上げていきました。

フロイトの精神分析に関する理論や概念はいろいろあります。よく知られているのは「無意識」「精神-性的発達理論」「心の構造論」です。

フロイトの無意識の発見に共感し、共同研究や理論を応用展開した弟子達のなかでも著名なのはユングですが、最終的に訣別することになります。

フロイトの無意識や精神理論には非常に共感したものの、無意識を何でもかんでも性本能に結びつける考え方が合わなかったようです。

ユング <C.G.Jung;1875-1961>

フロイトによって誕生した精神分析学は、当初フロイトが主張していた理論とはまた異なる形で大きく展開していきました。

日本でも人気のあるユングは、チューリッヒの精神病院に勤務する医師としてフロイトと知り合い、無意識という理論に感銘します。

そして、フロイトと親しい親交をもつことにより、やがて彼のリビドー(性衝動)と無意識への思想的な違いにより訣別することになります。

二人の考えたリビドー(性衝動)と無意識の決定的な違いは、フロイトのいうリビドーは、性的なものに限定されていたのに対して、ユングにとってのリビドーはもっと幅広い、心的エネルギーを指していたことです。

無意識については、フロイトは個人的で後天的な無意識(コンプレックス)を重視したのに対し、ユングは人類に共通する普遍的な無意識(元型)があるはずだという「集合性無意識」の考え方をとったことです。

ユングはその元型を突き詰めようとして、世界中の神話や古代思想に答えを求めるようになっていきました。

錬金術、チベット仏教、道教、善の瞑想など東洋の思想は、彼に大きな影響を与えたとされています。

そして、彼自身精神的な危機状態を体験し、それを乗り越えたことで彼独自の「分析心理学」の基本を確立するに至るのです。

ユングの心理学は日本でも受けが良く、一般の人々の間でも人気があります。

しかし、大学の心理学科などでアカデミックな心理学を学ぶとなると、正面切ってユングの心理学に取り組む機会はあまりないかも知れません。

人間をより深く、多面的に理解する上では有用な面があるとしても、ファンタジーやオカルトといった印象が持たれているのではないでしょうか?

エリクソン <E.H.Erikson;1902-1994>

フロイトの発達理論では、乳幼児期の口唇期からはじまって、性器期までの5段階とし、思春期以降の成人はすべて性器期にひとくくりにしました。

人間の精神発達を、性的エネルギーの対象との関係だけで考えたのがフロイトの発達理論です。

これに対し、個人の発達に関係する社会的なことや対人的な面を取り入れ、人間の生涯にわたる発達を8段階に分けて考えたのがエリクソンです。

エリクソンは、「アイデンティティ」や「モトリアム」といった、人格形成に関する考え方を生みだし、精神分析的自我心理学を展開しました。

アイデンティティとは、「自分は何者なのか」「自分の存在価値は何か」というような、社会の中での自分の確たる意味づけのことをいいます。

モトリアムとは、アイデンティティが確立するまでの間、交友関係や学業や仕事などの活動を通して自分自身を模索する期間のことをいいます。

精神発達理論にアイデンティティやモトリアムを取り入れ、人間の発達段階を「1)乳児期、2)幼児期、3)児童期、4)学童期、5)青年期、6)成人期、7)壮年期、8)老年期」に分けた「ライフサイクル理論」を発表しました。

ライフサイクル理論の中核となっているのは、アイデンティティという概念で、青年期に特有の課題と位置付けられています。

エリクソンによれば、この時期にアイデンティティを獲得できなければ、その次の段階へと発達していくことができません。

つまり、アイデンティティの確立は、青年期を超えて、個人の生涯を通しての課題としても捉えられています。

パブロフ <I.P.Pavlov;1849-1936>

「パブロフの犬」といえばロシアの生理学者パブロフ。

パブロフは心理学者ではなく、食物消化についての神経機構に関する研究で、ノーベル生理学賞を受けている生理学者でした。

パブロフのイヌ実験では、唾液腺や胃の一部を、手術によって身体の外部に出して、外から観察するという荒技実験をしました。

その実験では、イヌはえさを食べるとき以外にも、えさの皿を見ただけでも、またえさ係の足音を聞いただけでも唾液や消化液を分泌することを発見しました。

ちょうど日本人が梅干しを見たり、梅干しという言葉を聞いただけでも唾液が出てしまう、ということに等しい現象です。

動物(人間も)は、何かの実体験をした後に、その体験の一部または全部が条件となり、「条件的に」反射が身につくという「条件反射」を発見したのがパブロフです。

「パブロフの犬」で得られた現象は、「えさの皿」や「足音」が、えさを食べることの条件(シグナル)となった結果起こった心理的な現象であるとパブロフは考え、これを「精神的分泌」と呼びました。

条件反射の研究が始まったキッカケが「パブロフの犬」だったようです。

ワトソン <J.B.Watson;1878-1958>

「環境や経験こそが人間を決めるのだ」と言ったのは、アメリカの心理学者ワトソンでした。

「私に、健康で良く育った1ダースの子どもと、彼らを養育するために私自身が自由にできる環境とを与えて欲しい。そうすれば、そのうちの一人をランダムにとりあげ、その子を訓練して、私が選ぶ専門家-医師、法律家、芸術家、実業家、さらには、こじき、泥棒にさえもしてみせよう。その子の祖先の才能、好み、傾向、適正、能力がどうであろうと」

と豪語したそうです。

また、ワトソンは人間の性質は経験によってつくられるということの一端をパブロフの条件づけと同じやり方の「アルバート坊やの実験」で実証して見せました。

ワトソンは、それまで白ネズミを怖がらなかった赤ちゃんに、白ネズミを触ろうとするたびに大きな怖い声を聞かせるというシンプルな実験を行い、その赤ちゃんを、白ネズミを見るなり怖がって逃げるようにしてしまいました。

こうした実験により「人間を決めるのは、生まれつきの資質よりも、どういった環境で育ち、どんな経験をするかの方」であることを強調し、20世紀前半のアメリカの心理学派に【行動主義】を打ち立て席捲した革新的人物がワトソンです。

森田正馬 <もりた まさたけ;1874-1938>

「俄然注目されている森田療法。世界的にも広がり、海外でも紹介されるほどの神経症理論となっています。

森田療法は、森田自身が大学生の頃患った心悸亢進発作を克服したのが原点とされています。

彼は、切羽詰まってむかえた定期試験で、死をも覚悟して猛勉強した際、集中するあまり病気を忘れてしまい、成績は上昇。その時の試験を克服した体験が森田療法を編み出す原点となりました。

森田療法の主眼は、人間が本来もっている人間らしい欲望や不安、感情のメカニズムなどを科学的に解明-その理論にもとづき、「あるがまま」の心を育てることによつて神経症をのりこえていく、ということです。

正馬は精神医学のほかにも、祈祷や催眠術も独学したとされています。

開業後は自宅を患者と共同生活する場にし、患者と踊りを楽しみ、三味線を弾き、寝食を共にしたそうです。

何でも自分でやってみて、自分で確かめる正馬の姿勢は神経科医になったあとも続きました。

「あるがまま」に前向きに捉え、楽しみ、そしてそれが治療になる。

神経症は口で言うほど簡単には治らないでしょうが、自分自身を見つめ直す機会が乏しい現代社会では、この森田療法の理論が受け入れられているのが理解できるような気がしてなりません。

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