いまさら欧米型の食生活っていわれても、現代日本の食卓は無国籍状態!! 食卓には、中華・イタリアン・和食フレンチ・アメリカン・エスニック何でもござれ!!
何をもって欧米型食生活というのか?、ということですが、ここでいう欧米型の食生活というのは、欧米を中心とした先進国の典型的な食生活(特に米国型)であり、伝統的な欧米の食生活とはちょっと違うのだということは、頭にいれておいてください。
つまり現代日本の食生活そのものかもしれません。
現代日本人の現代病と言われる、ガン・糖尿病・高血圧・アレルギーは、戦後の「食の欧米化」の影響が一番大きいと言われています。
みんなの体がおかしくなってきている大きな原因のひとつです。
戦前までは、明治維新による西欧化政策で肉食が始まるなどの変化がありましたが、本当に現代的な欧米型の食事が本格化したのは、戦後のことです。何と言ってもアメリカへの敗戦が大きく影響しています。戦後アメリカは日本を占領し、当時アメリカ本国で余剰のあった小麦・トウモロコシ・脱脂粉乳を日本に押し付けてきました。
日本人にパンを食べさせるために宣伝カーで啓蒙活動をしたり、日本の給食にパンと脱脂粉乳を導入したりしました。
伝統的な日本食と比較すると栄養学的に見ても大きな転換点となってしまいました。
一万年もの長い間続いた日本人の食生活。日本の伝統がわずか40年位で、どんどん変わってしまいました。
先祖から受け継いできた日本人のからだや細胞は、急に変わる食べ物についていけていないようです。
日本人の食事は、あまりにも大きく変わってしまいました。それも人類史上極めて稀なケースといえるくらい、大きく、急激に変わってしまいました。
単純な欧米化とは言えない変化です。その変化を象徴するのは、脂肪摂取量の急激な拡大です。
わずか40年ぐらいのうちに、脂肪摂取量は4倍動物性の脂肪に限ると5倍にも増加しているのです。
米国で顕著に食事が変わり始めたのが1910年代に入ってからで、その波が日本に押し寄せたのは、1960年代に入ってからである。したがって、現在日本人の食卓の変化は、一人の人間の一生に収まるほど短い時間に起こっているのです。
その上、もともと日本固有の伝統食の上に新しいパターンの西洋食が入って来たのだから、その変化の規模は欧米よりはるかに大きいということができます。これだけ大きく、しかも急激な変化に、果たして人間のからだが適応しきれるものなのでしょうか。それがいま、われわれの直面している食の問題なのです。
なぜ、このパターンがどこの国でも共通しておこるのでしょうか。
それは、経済の豊かさが人々の生活にどんな変化をもたらすかを考えれば納得がいきます。
まず、経済的に豊かな国の人ほど、料理にさく時間が短くなります。
豊かになるのは、女性が社会に進出した結果でもあり、料理にも時間もかけるのは、物理的にも不可能だからです。核家族や一人だけの世帯も増えていき、ここでも料理にさく時間は短くなりやすい。
その結果、外食をしたり、出来合いの惣菜を利用したり、調理の手間のかからない加工食品に依存するようになる。
豊かな国ほど、短い時間で調理できる便利な食品が安く手に入るし、気軽に利用できるレストランの数が増えるということもあります。
そして、便利な食品とは、たいていが高脂肪なのです。
料理の時間を最も短縮してくれるのは肉や肉加工品だし、加工食品には植物油やラードをたっぷり使ったものが多い。
外食店の多くは、経済効率を高めるために、肉類の揚げ物料理、いため物料理を中心にメニューを組み立てているので、当然脂肪の摂取量は増加します。
こうしたわけで、生活が豊かになるほど、食事のパターンとしては脂肪の取り過ぎになります。
一方、食物繊維の、ビタミン、ミネラルなどの栄養素が一緒にパックされた澱粉は減る。逆にこうした微量栄養素がまったく含まれていない砂糖の摂取は増えていく。
それだけ栄養のバランスはこわれていく。1962年度の調査時で、経済的に最も豊かな国は米国でした。
そして、先進国中で最も不健康な国も、米国だったのです。1969年のアメリカ人の平均寿命は世界で26位、国民一人あたりの医療費支出は世界一。日本人に比べて、アメリカ人の心臓病による死亡率は約9倍、糖尿病の死亡率は約5倍も高かったのです。